退職代行サービスから会社への連絡があるケースは、実際に多くの企業で経験されているようです。出勤しない社員がいて連絡が取れない場合、会社としては様々な状況を考慮し、迅速かつ適切に対応する必要があります。
最近、医療系の法人からご相談いただいた内容は次のようなものでした。
出勤しない社員がいて、連絡も取れなくてどうしようかと思っていた矢先、会社に退職代行サービスから連絡がありました。どう対応したらよいですか?
退職代行サービスの利用実態
ある調査結果では、退職時に退職代行を利用すると回答したのは21.9%、利用を検討すると回答した人も加えると、47.4%だそうです。 自身もしくは同僚や知人が退職代行を利用していたことがあると回答したのは37.5%という結果も出ており、どこの会社でも退職代行サービスを利用する社員がいてもおかしくない状況です。 特に、20代では、退職時に退職代行を利用する、もしくは検討すると回答した人が56.9%で、『利用しない』と回答した人より多いようです。 退職代行サービスから連絡が来ることは、他人事ではない、と考える時代のようです。
退職代行サービスから連絡がきたら
労働者には退職の自由が認められています。そのため、本人の意思で退職の申し出があった場合には、拒否はできません。退職代行サービスを使ってでも退職しようとしている人を引き留めても、退職の意思が変わる可能性は低いでしょう。強引な引き留め、退職拒否をすると、悪い噂がSNSなどで広まり、返って会社にとってマイナスになってしまいます。
そのため退職代行サービスから連絡が来た場合は下記の確認を行いましょう。
- 退職代行サービスがどのようなものかを確認
弁護士、労働組合、一般の退職代行サービスの業者。どれにあたるかにより、交渉権の有無などの違いあります。 - 労働者本人の意思であることを確認する
委任状を取るなど、本人の意思による申し出かどうかを確認する必要があります。 - 本人が作成した退職届の提出を求める
必ず、本人の意思による退職であることの確認として、本人が書いた退職届を受理してください。
退職代行サービスを使う場合は、会社と連絡を取りたくないケースが想定されます。そのため、直接と本人とやりとりできず、引継ぎに支障をきたす可能性も出てきます。
日頃の対策について・・・
- コミュニケーションの取りやすい環境を作ること。
職場にハラスメントがないか
個別ミーティングなど上司と部下のコミュニケーションの機会をもつ など - 法令遵守による働きやすい職場作りに取り組むこと。
労働時間の適正な管理
年次有給休暇の取得
適切な割増賃金の支払い など
テレワークやSNSの普及で直接話をする機会が減る社会的背景を受け、今後は代行サービスを使う人はさらに増えるかもしれません。
でも、せっかくいっしょに働いた仲間が退職を決意したとき、最後は話ができる職場環境を作れるように、できることはしておきたいものです。
人手不足の今、人を大事にできる職場環境作りが、人材確保、育成、経営に関わってくる時代です。会社の労務について、経営の観点からいっしょに取り組める社労士でありたい。
そんな思いで、日々、ご相談にお答えし、コンサルを行っています。
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